田村 興一郎
Koichiro Tamura
©Takashi Kanai
1992年新潟生まれ。振付作家・ダンスアーティスト・EXPERIMENTAL HIP-HOPパフォーマー。DANCE PJ REVO主宰。2019年まで京都での創作活動を経て、現在は横浜を拠点に活動中。
~過去~
「少年チャンプル」を見た影響でアニメーション、ブレイク、ヒップホップダンスに憧れ、高校から部活動でダンスを始める。創作ダンスを中心にモダンバレエも学ぶ。舞踏家・伊藤キムの影響を受け、京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)で身体表現と舞台芸術を専攻。その後大学にて寺田みさこ、山下残からも刺激をもらう。
自身の創作活動をはじめるために京都造形芸術大学Revoというダンスチームを立ち上げ、大学の創作ダンスの全国大会などに精力的に参加し、ダンス作品を作り続けた。最初の自主制作公演「人間と動物-Revo history of dance 2011-2014-」では大学4年間で制作した全作品11作品をオムニバス形式で同時に上演し、満員御礼で高評価を獲得した。日本のコンテンポラリーダンスを盛り上げるべく、卒業後も創作活動を続け、ダンスカンパニーDance Project Revo (現:DANCE PJ REVO)と改名し、現在も継続的に振付作品の制作を手掛けている。これまでの振付作品数は70作品以上に及ぶ。
~現在~
独自の振付論によって生み出した”ミニマルハードコア”と呼ばれる舞台作品を多種多様に制作・上演して活動。現代美術に影響を受けていることから、「もの(object)」と「身体」を空間芸術的視点で組み合わせることでマテリアルとの対話の可能性を追及している。
代表作は12キロのコンクリートブロックを知的かつフィジカリティに扱い、日本の労働環境や過労死について再考させる『F/BRIDGE』、段ボール100個を使って倒木を再現し、被災地(鞍馬)の復興を謳った『STUMP PUMP』などがある。"労働"を動きの核として捉えたムーブメントから、ストリートダンスをベースとした空間を裂くソリッドなムーブメントまで幅広いダンスを扱う。
また日本の舞台芸術における問題意識を持ったうえで挑戦を恐れず新たな価値観を提示する姿勢や、社会に斬り込んだコンセプトを選び抜く意欲にも評価を得ている。ストリートカルチャーに憧れた文脈から、その独自の表現活動を”EXPERIMENTAL HIP-HOP(実験的なヒップホップ)”と呼ぶ。
クリエイターとしてはダンスの他にもグラフィティ(落書きアート)や、ビートボックスなど手掛ける。近年は(2023年現在)野外/ストリートで舞台作品を上演する可能性を探っている。
2018年度~2020年度 NPO法人DANCE BOX アソシエイトカンパニー。
2020年度~(継続中)セゾン文化財団セゾン・フェローⅠ。
2023年度~DANCE BASE YOKOHAMA レジデンスアーティスト。
Dance New Air 2018ダンスショウケースでは同世代の若手アーティストのキュレーターに就任。
コンテンポラリーダンスショーケース企画オドリバではファシリテーター(2022)を務める。
~外部参加~
2019年3月 KUNIO14 (杉原邦生 主宰・演出・美術)にて沈黙劇「水の駅」(作:大田省吾)の出演及び、俳優への振付を手掛ける。
2021年12月には蜷川幸雄 設立のさいたまゴールドシアター最終公演「水の駅」(杉原邦生 演出・美術)の振付を手掛ける。
~国際活動(海外招へい)~
2018/Hong Kong Dance Exchange 2018 作品上演(香港)
2018/ソウルダンスセンター×京都芸術センター アーティストインレジデンス 2か月滞在制作(韓国)
2019/Center National de la Danse 3か月滞在制作・作品上演(フランス・パリ)
2021/シビウ国際演劇祭/FITS2021 作品上演(ルーマニア・シビウ)
2022/THE CORONET THEATER JAPAN FESTIVAL 作品上演 (イギリス・ロンドン)
2022/大邱国際ダンスフェスティバル(大邱・韓国)※参加辞退
2022/Contemporary Ballet of Asia (ソウル・韓国)
~受賞歴~
アーティスティックムーブメント・イン・トヤマ2011 作品「点滴」特別賞/ 第2回 座・高円寺ダンスアワード受賞
第25回全日本高校ダンスフェスティバル神戸(2012)大学創作コンクール部門 作品「EARTHLINGS」決選入選
アーティスティックムーブメント・イン・トヤマ2013 作品「ハゲワシと少女」審査員賞
第4回 座・高円寺ダンスアワード受賞 4th Dance Creation Award(2014)創作部門 作品「ハゲワシと少女」第2位受賞/ 海外コンクール推薦賞
第27回全日本高校大学ダンスフェスティバル神戸(2014)大学創作コンクール部門 作品「天井の虫」決選入選
横浜ダンスコレクションEX2015 コンペティションⅡ新人振付家部門 作品「ハゲワシと少女」奨励賞
横浜ダンスコレクション2016 コンペティションⅡ新人振付家部門 作品「飼育員」 最優秀新人賞
横浜ダンスコレクション2018 コンペティションⅠ 作品「F/BRIDGE」 若手振付家のための在日フランス大使館賞/ シビウ国際演劇祭賞
SAI DANCE FESTIVAL 2021 COMPETITION 作品「窪地」 最優秀作品賞
『踊る。秋田』vol.7 (2022)国内コンペティション 作品「窪地」 審査員特別賞
福祉と保育に関わるアウトリーチを中心としたダンス活動にも尽力している。京都時代には地域福祉型お笑いダンスユニット☆ムロタムラ(2015年~2019年)として関西地域を中心に、保育所や老人保健施設などの福祉施設を訪問し、明るくポップなオリジナルダンスを提供する活動をしていた。この経験から香港の施設でダウン症のこども達へのワークショップ講師にも招待された。この活動が認められ社会貢献型アーティストとして称されていた。現在は新ユニット「こどもわらい☆ムロタムラ」として文化庁のコミュニケーション能力向上事業への活動を計画中。
このムロタムラの活動経験と放課後児童支援員と運動療育士(発達障害児童支援)としてのキャリアを活かして、こどもの未来をつくるダンス活動を行っている。
韓国のレジデンスで考案した「誰でも振付家になれるワークショップ 身体美術館」や、人との繋がりに投資した参加費500円の「ワンコインワークショップ」などの市民参加型ダンス事業など、交流・普及を目的とした彩りのあるアーティスト活動を志している。
Choreographer, Dance Artist, Performer, Dancer. Born in Niigata in 1992. Active in Japan/Tokyo, Kyoto, Kobe, Niigata. Studied performing arts and contemporary dance at Kyoto University of Art and Design.
In order to start creative activities in the university, he start that setting up the individual dance company [DANCE PJ REVO] in 2011. In the first performance "Human and Animals Revo history of dance 2011-2014" (2014) configured 11 works. It was fully booked on all stages and received high marks. After graduating, Even now, He continued his creative activities and continuously made choreographed works. His performance, which sees "labor" as the core of his movement, has a strong body that fights with a big society, which gives a thrill and sympathy beyond dance. Until now, the number of choreographed works with this is more than 50 works. His dance style is called "minimal hardcore".
DANCE PJ REVO is selected as an associate company of NPO corporation DANCE BOX(Kobe). Its content supports the company's activities with a new creation for 3years from 2018 to 2020.
He has also produced works in Hong Kong, Korea, Romania, France, etc. overseas, and is currently active as a writer in Japan and overseas.
He was appointed a curator of a young choreographer at the dance show case of Japan's famous Dance Festival called Dance New Air 2018.
Other dance style have been conducted with comedian performers [MUROTAMURA].Keisuke Murota and Koichiro Tamura's group. They went to welfare facilities and presented comical dance. Because the activity was recognized, He taught dance to children with Down syndrome in Hong Kong.
He has developed "A workshop for everyone to become a choreographer[Body Museum]" and held it in many places such as Japan and Korea anymore. His purpose is to connect with people all over the world via dance.
Residence
(June-July 2018) Residence for research and production in Korea at Seoul Dance Center x Kyoto Art Center Project.
(April-June 2019) Residence for research and production in France by the invitation of the CND-Center National de la Danse.
Illustration [TAMMON]
Artistic Movement in TOYAMA 2011 Work "Drip" Special Prize /
2nd Koenji Dance Award Prize
The 25th All Japan Dance Festival KOBE University Competition
Work "EARTHLINGS" Finalist
Artistic Movement in TOYAMA 2013 Work "Vulture and Girl" Jury Prize /
4th Koenji Dance Award Prize
4th Dance Creation Award 2014 Work "Vulture and Girl" Second Prize / Overseas Competition Recommendation Prize
The 27th All Japan Dance Festival KOBE University Competition
Work "Insect on the ceiling" Finalist
Yokohama Dance Collection EX 2015 Competition II young
Choreographer Division Work "Vulture and Girl" Encouragement Prize
Yokohama Dance Collection 2016 Competition II young Choreographer Division Work “Zookeeper” Outstanding New Artist Prize
Yokohama Dance Collection 2018 Competition I Work "F / BRIDGE"
French Embassy Prize for young choreographers / FITS Prize
SAI DANCE FESTIVAL 2021 COMPETITION Work "nostalgia"
Grand Prize
Odoru-Akita vol.7 COMPETITION Work "nostalgia"
Jury Prize
ヴィヴィアン佐藤(美術家・ドラァグクイーン)
初期作品は生物界の絶対的な重力、野性生存本能という物語を下敷きに、善悪未分化の理を具現化した。有限の命であることの残酷さと優しさを露呈した舞台は、「死すべき運命(mortality)」を哀しいまでに美しく描いてみせた。そして、田村のダンスはますます進化し、外部に所有した物語性を食い尽くし、自身の肉体のうちにある根源的かつ宇宙的な物語性へと舵が切られていく。田村という船は、これからどんな未知の大陸を見つけてくれるのか、そこから一体何を持ち帰ってくるのか、誰にもわからない。
竹田真理(評論家)
田村興一郎の根底にあるのは世界への違和感かと思う。簡単な同意や共感を欲しがらず、背中を風が吹き抜け、尖がった自意識を潜ませる。
宮久保真紀(Dance New Air チーフプロデューサー)
昨年秋に開催した2年に一度のダンスフェスティバル「Dance New Air 2018」で、どなたでも自由に観ることができる「ダンスショウケース」プログラムのアーティストキュレーションを田村さんに依頼しました。(田村さん、その節は大変お世話になりました。)私たちからの「田村さんと同世代を」という依頼に、彼は「10年後も必ず踊っている気鋭たち」という視点を加えて、仲間でありライバルでもある素敵なアーティストをラインアップしてくださいました。田村さんたちの溢れるパワーがフェスティバルのクロージングを盛り上げたことは、ご覧になれなかった方々のお耳にも届いていることと思います。何も知らずに通りかかった方は「何事か」と足をとめ、次の予定があるのでしょうに子供が見入って動かず、困った顔をしつつ一緒に作品を楽しむ親子連れの姿など、とにかく一日中、会場となったスパイラル1Fのエントランスが、ダンスを楽しむ人々で埋め尽くされました。新境地を拓いていくアーティストとは、自身の作品創作を主軸に、社会に関心を持ち、先を見据え、様々な人・物・事を引きつける力があることが絶対的条件、と私は考えますが、まさしく田村さんはそれを担っている人といえるでしょう。
須藤亮太郎(UrBANGUILD ブッキング・マネージャー)
僕がUrBANGUILDでFOuR DANCERS というダンス企画を100回以上続ける事が出来ているのは、田村興一郎の様な、若くてオモシロイ(interestingの意味ね)ダンサーに出会えた事も大きな要因だと思う。 これからも彼の野心はどんどん拡がるだろうし、深まってもいくだろう。 行き詰ったこの時代に創造的破壊が出来る彼は貴重な存在だ。 この『Stump Pump』の後、暫くフランスに滞在するらしい。 日本なんか捨ててしまえと思うのだが、帰ってきて欲しいなとも思う自分がいる・・
室田敬介(マイマー・クラウン・ダンサー)
私はDANCE PJ REVOとは別に地域福祉型お笑いダンスユニット「ムロタムラ」としても田村興一郎と活動を続け、地域のお祭りや福祉施設、教育機関など様々な場の中でダンスパフォーマンス、ダンス指導、活動分野からは離れている様なイベントのMCなども経験しました。以上の経験から彼の魅力を一つ挙げるとすると「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてる」=「異なる環境に適応できる柔軟性」を備えていることです。これは彼自身の舞台作品からも感じられることであり、作品を追うごとに変化するパフォーマンス技法や場所、環境によって工夫されるクリエイションスタイルなど挙げるときりがないくらいです。彼の奇抜な発想には毎度驚かされてきました。私にとっての田村興一郎とは、コンテンポラリーという言葉を用いなければ説明がつかない存在です。それ程までに彼は「現代的」に生きています。見る度に新しい風を吹かす彼の作品に今回も目が離せません!
Vivian Sato(Artist/Drag queen)
The early works embody the logic of good and evil without differentiation based on the story of the absolute gravity of the living world, wild instinct. The stage that exposed the cruelty and kindness of being a limited life, beautifully portrayed the "mortality" by loneliness. And Tamura's dance has evolved more and more, eating out the narratives owned outside, turning to the fundamental and cosmic narratives in his own body. Nobody knows what kind of unknown continent the ship Koichiro Tamura will find in the future, or what will it bring home from there.
Mari Takeda(Critic)
I think that it is a sense of discomfort for the world that is the basis of Koichiro Tamura. He does not want a simple agreement or sympathy, the wind blows his back and keep his sharp self-consciousness.
Maki Miyakubo(Dance New Air chief producer)
With the artist who opens up new frontiers, I think that it is an absolute condition that I have an interest in society with an emphasis on an creation on the creation of my own work, and look ahead things. Indeed Koichiro Tamura is the person who carries it.
Ryotaro Sudo(UrBANGUILD Booking Manager)
The reason I can continue the festival is because I met a young and interesting dancer like Koichiro Tamura. He who can creatively destroy is a valuable being. I wish he will active in France.
Keisuke Murota(Mime performer)
"Trying various things and having various experiences" = "flexibility to adapt to different environments". This is something that can be felt from each his stage works, and there are exciting ways such as performance techniques, I was always surprised at his unusual ideas. He does live "modern". His works, which blows new winds to the ease of viewing, keep an eye are defined by the environment, which changed as the works are followed.